心尽くし
こころづくし
名詞
標準
文例 · 用例
戦争でなくても、これだけの心尽くしの布片を着込んで出で立って行けば、勝負事なら勝味が付くだろうし、例えば入学試験でもきっと成績が一割方よくなるであろう。
— 寺田寅彦 『千人針』 青空文庫
ただなんでもいいせっせと手当たり次第したくをしておかなければ、それだけの心尽くしを見せて置かなければ、目論見どおり首尾が運ばないように思ったので、一ぺん横になったものをまたむくむくと起き上がった。
— 有島武郎 『或る女』 青空文庫
これまでのあなたのお心尽くしでわたしはもう充分。
— 有島武郎 『或る女』 青空文庫
それほどまでの葉子に対する倉地の心尽くしを、臆病な驚きと躊躇とで迎える事によって、倉地に自分の心持ちの不徹底なのを見下げられはしないかという危惧よりも、倉地が自分のためにどれほどの堕落でも汚辱でも甘んじて犯すか、それをさせてみて、満足しても満足しても満足しきらない自分の心の不足を満たしたかった。
— 有島武郎 『或る女』 青空文庫
「そなたのうれしきあの夜の心尽くし、生々世々忘れまじく候。
— 京人形大尽 『右門捕物帖』 青空文庫
女房は夫の詞を聞いて、喜んで心尽くしの品を取り揃えて、夜ふけて隣へおとずれた。
— 森鴎外 『阿部一族』 青空文庫
重々のお心尽くしかたじけのうござる」 ぽつりと切るようにいって二人は無言、文次の茶をすする音がのどかに聞こえた。
— 林不忘 『つづれ烏羽玉』 青空文庫
卑怯な遊佐銀二郎のために、肩へ斬り附けられた守人は、安兵衛に助けられて、銀二郎が影屋敷へはいって行った後、文次の心尽くしで、この日本橋浮世小路の文次の家、いろは寿司の二階へかつぎ込まれたのだった。
— 林不忘 『つづれ烏羽玉』 青空文庫