幻辞.com

消え行く

きえいく
動詞
1
標準
文例 · 用例
と見ると、雲の黒き下に、次第に不知火の消え行く光景。
泉鏡花 南地心中 青空文庫
すると、美しきもの必ずしも命短からずと抗議をして消え行くまぼろしをうつし身に取戻そうとするかのように、消え行く淡い影に向って再び弾きかける濃厚重弁な色と光の早咲き。
岡本かの子 生々流転 青空文庫
そうして子細に考えてみると緊張に次ぐ弛緩の後にその余波のような次第に消え行く弛張の交錯が伴なうように思われる。
寺田寅彦 笑い 青空文庫
両国橋の落ちたる話も、まず聞いて耳に響くはあわれなる女の声の――人雪頽を打って大川の橋杭を落ち行く状を思うより前に――何となく今も遥かに本所の方へ末を曳いて消え行く心地す。
泉鏡花 遠野の奇聞 青空文庫
」 薄の霜に入残る、有明月の消え行く状、覗いている顔が彼方へ、茅萱の骨に隠れんとした、お鶴は続けさまに呼び留められ、あえて危む様子もなく、「あい、私。
泉鏡花 わか紫 青空文庫
唯、こゝに、低い草畝の内側に、露とともに次第に消え行く、提灯の中に、ほの白く幽に見えて、一張の天幕があつた。
泉鏡太郎 露宿 青空文庫
空が夕日の消え行く光を西の底深く鎖して畢つて、薄い宵が地を低く掩うて夜が到つた時女は井戸端で愉快に唄ひながら一|種の調子を持つた手の動かし樣をして米を研ぐ。
長塚節 青空文庫
「蒲團も持てらば持つて來た方がえゝな」南の亭主の聲は段々に大粒に成つて飛んで居る雪の亂れの中に消え行く勘次の後から追ひ掛けた。
長塚節 青空文庫
消え行く(きえいく) — 幻辞.com