金鉄
きんてつ
名詞
標準
gold and iron
文例 · 用例
殿に金鉄の我が心も、波打つばかり悩乱をいたします。
— 泉鏡花 『天守物語』 青空文庫
鍍金鉄格子に囲まれた中で、我々は、わが政治犯達及び刑務所長ウルムブラント氏と共にカヴァを飲んだ。
— 中島敦 『光と風と夢』 青空文庫
金鉄を貫き岩をも透す精神力、山を抜き世を蓋う意気込みで、威力を天地に及ぼし、功業を造物主と争おうとしても、人の意図の及ぶところ、井の中のカエル・甕の中のアリと同様なのをどうすることも出来ない。
— 幸田露伴 『悦楽(現代訳)』 青空文庫
それが、五六人は召捕られ、七八人は何処ともなく落ち延びて、今残っている十一人は、忠次のためには、水火をも辞さない金鉄の人々だった。
— 菊池寛 『入れ札』 青空文庫
男子の一言金鉄の如しというヒロイズムだけを彼は頑固に信じている。
— 平林初之輔 『犠牲者』 青空文庫
八丁堀同心近藤右門の口は金鉄にござそうろうあいだ、おん秘密にすべきお喜久の方様のご条々は生々断じて口外いたすまじく、さればこれなる下人一匹、些少ながらご進物としてさし上げそうろうまま、一服盛りにでもご手料理くだされたくそうろう頓首再拝」 したため終わると、伝六、辰に命令一下。
— 七化け役者 『右門捕物帖』 青空文庫
しかれども恐らくはその解釈は怪の一字を解し得ざるべく、しからざれば一字一句|金鉄の如く緻密に泰山の如く動かざる蕪村の筆力を知らざる者の囈語のみ。
— 正岡子規 『俳諧大要』 青空文庫
一句一句吐き出すその言葉にも、五|分の隙もない緊張味と、金鉄動かすべからざる威厳とが含まれていた。
— 夢野久作 『暗黒公使』 青空文庫