磴
はし
名詞
標準
文例 · 用例
「私が持ちましょう、磴に打撞りますわ。
— 泉鏡花 『縷紅新草』 青空文庫
山門を仰いで見る、処々、壊え崩れて、草も尾花もむら生えの高い磴を登りかかった、お米の実家の檀那寺――仙晶寺というのである。
— 泉鏡花 『縷紅新草』 青空文庫
この燈籠寺に対して、辻町糸七の外套の袖から半間な面を出した昼間の提灯は、松風に颯と誘われて、いま二葉三葉散りかかる、折からの緋葉も灯れず、ぽかぽかと暖い磴の小草の日だまりに、あだ白けて、のびれば欠伸、縮むと、嚔をしそうで可笑しい。
— 泉鏡花 『縷紅新草』 青空文庫
磴たるや、山賊の構えた巌の砦の火見の階子と云ってもいい、縦横町条の家ごとの屋根、辻の柳、遠近の森に隠顕しても、十町三方、城下を往来の人々が目を欹れば皆見える、見たその容子は、中空の手摺にかけた色小袖に外套の熊蝉が留ったにそのままだろう。
— 泉鏡花 『縷紅新草』 青空文庫
卑怯な、未練な、おなじ処をとぼついた男の影は、のめのめと活きて、ここに仙晶寺の磴の中途に、腰を掛けているのであった。
— 泉鏡花 『縷紅新草』 青空文庫
「その日は、当寺へお参りに来がけだったのでね、……お京さん、磴が高いから半纏おんぶでなしに、浅黄鹿の子の紐でおぶっていた。
— 泉鏡花 『縷紅新草』 青空文庫
何、こそこそと、鼠あるきに、行燈形の小な切籠燈の、就中、安価なのを一枚細腕で引いて、梯子段の片暗がりを忍ぶように、この磴を隅の方から上って来た。
— 泉鏡花 『縷紅新草』 青空文庫
はじめ二人は、磴から、山門を入ると、広い山内、鐘楼なし。
— 泉鏡花 『縷紅新草』 青空文庫