平塵
へいじん
名詞
標準
文例 · 用例
左の方よりは足助の二郎重景とて、小松殿恩顧の侍なるが、維盛卿より弱きこと二歳にて、今年|方に二十の壯年、上下同じ素絹の水干の下に燃ゆるが如き緋の下袍を見せ、厚塗の立烏帽子に平塵の細鞘なるを佩き、袂豐に舞ひ出でたる有樣、宛然一幅の畫圖とも見るべかりけり。
— 高山樗牛 『瀧口入道』 青空文庫
浮世を忍ぶ旅路なればにや、一人は深編笠に面を隱して、顏容知るに由なけれども、其の裝束は世の常ならず、古錦襴の下衣に、紅梅萌黄の浮文に張裏したる狩衣を着け、紫裾濃の袴腰、横幅廣く結ひ下げて、平塵の細鞘、優に下げ、摺皮の踏皮に同じ色の行纏穿ちしは、何れ由緒ある人の公達と思はれたり。
— 高山樗牛 『瀧口入道』 青空文庫