ため口
ためぐち
名詞
標準
文例 · 用例
君子は金の札を浅い茶碗の水に浮かべて中風のため口も身体もきかなくなって一室に寝たままの白髪の老女にすすめた。
— 山本禾太郎 『抱茗荷の説』 青空文庫
まずは右のため口上。
— 両国の大鯨 『顎十郎捕物帳』 青空文庫
「東西、東西、このところお聞きに達しまする浄瑠璃|芸題、「艶姿女舞衣」、語りまする太夫、玉井|春昇、三味線お京、いよいよ、三勝半七酒屋の段、そのため口上、東西東西」 拍手。
— 火野葦平 『花と龍』 青空文庫
「東西東西、このところお聞きに達しまする浄瑠璃|芸題『艶姿女舞衣』、語りまする太夫、玉井春昇、三味線徳弥、いよいよ、三勝半七酒屋の段、そのため口上、東西東西」 この芸題が馬鹿の一つ憶えのようになってしまった。
— 火野葦平 『花と龍』 青空文庫
諄いようではあるが、彼女のようすにはここでもまた、激しいショックのため口がきけないとか、姪のために悲しみのあまり、感情の整理がつかない、などというけはいはまったく認められなかった。
— 山本周五郎 『季節のない街』 青空文庫
近頃までその傷の中に、小さな石片か何か入っていたそうで、その創のため口角が充分に開かないのが、見るからに痛々しい。
— 中村清太郎 『ある偃松の独白』 青空文庫
大熱のため口中は渇いて棘を含むがごとく、傷口は激痛して時々五体をふるわすほどだったが、豪毅な精神力はそれを抑えて、人には何気なく見えるほど平然と囲碁にまぎらわしているのだった。
— 出師の巻 『三国志』 青空文庫