満船
まんせん
名詞
標準
文例 · 用例
「満船の時はどうも仕方がありません」と、ボースンは鞠躬如として答えた。
— 葉山嘉樹 『海に生くる人々』 青空文庫
船の動揺ははなはだしかったが、満船している関係上、動揺以上に浪の打ち込みがはなはだしく、そのため、水夫室の頭上では、錨が浪と衝突して少しでもゆるみが来ると、今にもサイドを押し割りそうに、メリメリッと鳴った。
— 葉山嘉樹 『海に生くる人々』 青空文庫
ちょうどこの時、船長は、そのマストがきれいになり、サイドが化粧し、うまい具合に満船したという報知を、チーフメーツから受け取って、彼女と、酒を飲んでいた。
— 葉山嘉樹 『海に生くる人々』 青空文庫
昨夜|江頭碧波を湧かす満船|都て相公の※を載す雖然羮を調うるの用をなすことを要するも未だ必ずしも羮を調うるに許多を用いず 秋壑はそれを聞いて、その詩を作った士人を誹謗の罪に問うて獄に繋いだ。
— 田中貢太郎 『緑衣人伝』 青空文庫
「金波銀波がきれいじゃがのう」 と少しはなれて行き違った天満船の、波のうねりを見てすみ子が言った。
— 倉田百三 『光り合ういのち』 青空文庫
それより後二夜は満船|蝋の火の光に夜を照し続けられ候。
— 與謝野寛、與謝野晶子 『巴里より』 青空文庫
「あ、ムクが……」 この急に存在を持上げた巨犬が、ザンブとばかりに海中へ飛び込んだので、満船の人がまた慄え上りました。
— 白雲の巻 『大菩薩峠』 青空文庫
満船の清風、人をして夏を忘れしむ。
— 井上円了 『南半球五万哩』 青空文庫