赤黒
せっこく
名詞
標準
文例 · 用例
赤黒い顔に鉄縁の眼鏡を掛け、紋付羽織が好きで何時もその広い胸ははたけられてゐた。
— 中原中也 『校長』 青空文庫
窓一ぱいにあんなに見事に咲いていた桜の花も、おおかた散ってしまって、いまは赤黒い萼だけが意地わるそうに残っている。
— 太宰治 『正義と微笑』 青空文庫
」言いながら彼は股の毛をわけて、深い赤黒い傷跡をいくつも私に見せた。
— 太宰治 『猿ヶ島』 青空文庫
一人のは赤黒く一人のは著しく黄色つぽい調子が目に付いた。
— 寺田寅彦 『寫生紀行』 青空文庫
目鼻立は十人並……と言うが人間並で、色が赤黒く、いかにも壮健そうで、口許のしまったは可いが、その唇の少し尖った処が、化損った狐のようで、しかし不気味でなくて愛嬌がある。
— 泉鏡花 『みさごの鮨』 青空文庫
」 客は赤黒く、口の尖った、にきびで肥った顔を見つつ、「姐さん、名は何と言う。
— 泉鏡花 『みさごの鮨』 青空文庫
」 絨毯を縫いながら、治兵衛の手の大小刀が、しかし赤黒い電燈に、錆蜈蚣のように蠢くのを、事ともしないで、「何が、犬にも牙がありゃ、牛にも角があるだあね。
— 泉鏡花 『みさごの鮨』 青空文庫
同じ緋縮緬の長襦袢を着せても着人によりて、それが赤黒く見える。
— 泉鏡花 『白い下地』 青空文庫