揺曳
ようえい
名詞動詞-サ変動詞-自動詞
標準
flutter
文例 · 用例
二 あらゆる花の中でも花の固有の色が単純で遠くから見てもその一色しか見えない花と、色の複雑な隈取りがあって、少し離れて見ると何色ともはっきり分らないで色彩の揺曳とでも云ったようなものを感じる花とがある。
— 寺田寅彦 『雑記帳より(2)』 青空文庫
濃紅色の花を群生させるが、少しはなれた所から見ると臙脂色の団塊の周囲に紫色の雰囲気のようなものが揺曳しかげろうているように見える。
— 寺田寅彦 『雑記帳より(2)』 青空文庫
とにかく、この山男の身辺にはなんとなく一種神秘の雰囲気が揺曳しているように思われて、当時の悪太郎どもも容易には接近し得なかったようである。
— 寺田寅彦 『物売りの声』 青空文庫
朗詠の歌の詞は「新豊の酒の色は鸚鵡盃の中に清冷たり、長楽の歌の声は鳳凰管の裏に幽咽す」というのだそうであるが、聞いていてもなかなかそうは聞きとれないほどにゆっくり音を引延ばして揺曳させて唱う。
— 寺田寅彦 『雑記(1)』 青空文庫
その「煙のビスケット」が生物のように緩やかに揺曳していると思うと真中の処が慈姑の芽のような形に持上がってやがてきりきりと竜巻のように巻き上がる。
— 寺田寅彦 『喫煙四十年』 青空文庫
この自然現象の表示としての微分方程式の本質とその役目とをこういうふうに考えてみた後に、翻って文学の世界に眼を転じて、何かしらこれに似たものはないかと考えてみると、そこにいろいろな漠然とした類推の幻影のようなものが眼前に揺曳するように感ぜられるのである。
— 寺田寅彦 『科学と文学』 青空文庫
自分の子供の時分、郷里ではそういう場合に「おらのおととのかむ――ん」という呪文を唱えて頭上に揺曳する蚊柱を呼びおろしたものである。
— 寺田寅彦 『試験管』 青空文庫
実在の人間に不可能で、しかも人間の可能性の延長であり人間の欲望の夢の中に揺曳するような影像を如実に写し出すというのも一つの芸術ではあるが、そうした漫画は精神的にはわれわれに何物をも与えず、ただ生理的にむしろ廃頽的な効果を与えるのみではないかという疑いがある。
— 寺田寅彦 『映画雑感(3)』 青空文庫
作例 · 標準
風に揺曳する柳の枝が、なんとも風情がある。
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彼女の長い髪が、微風に揺曳していた。
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夕焼け空の下、旗が静かに揺曳していた。
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