遙々
遙々
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文例 · 用例
その後この疑問を遙々日本へ持って帰って仕舞い込んで忘れていた。
— 寺田寅彦 『喫煙四十年』 青空文庫
又兎も角も折角其家を目指して遙々遠方から尋ねて來た客を、どうしても收容し切れない場合なら、せめて電話で温泉旅館組合の中の心當りを聞いてやる位の便宜をはかつてやつてはどうか。
— 寺田寅彦 『伊香保』 青空文庫
こゝで見た景色を忘れない、苅あとの稻田は二三尺、濃い霧に包まれて、見渡すかぎり、一面の朧の中に薄煙を敷いた道が、ゆるく、長く波形になつて遙々と何處までともなく奧の院の雲の果まで、遠く近く、一むらの樹立に絶えては續く。
— 泉鏡花 『遺稿』 青空文庫
里馴れたものといへば、たゞ遙々と畷を奧下りに連つた稻塚の數ばかりであるのに。
— 泉鏡花 『遺稿』 青空文庫
植ゑ添へたのが何時か伸びて、丁度咲出た桔梗の花が、浴衣の袖を左右に分れて、すらりと映つて二三|輪、色にも出れば影をも宿して、雪洞の動くまゝ、靜かな庭下駄に靡いて、十|歩に足らぬそゞろ歩行も、山路を遠く、遙々と辿るとばかり視め遣る…… 間もなかつた。
— 泉鏡太郎 『淺茅生』 青空文庫
民也は心も其の池へ、目も遙々と成つて恍惚しながら、「蒼い鎧を着るだらうと思ふ。
— 泉鏡太郎 『霰ふる』 青空文庫
ト其の氣で、頬杖をつく民也に取つては、寢床から見る其の板の間は、遙々としたものであつた。
— 泉鏡太郎 『霰ふる』 青空文庫
随分遙々の旅だつたけれども、時計と云ふものを持たないので、何時頃か、其は分らぬ。
— 泉鏡花 『貴婦人』 青空文庫