短衣
たんい
名詞
標準
文例 · 用例
大隊長とその附近にいた将校達は、丘の上に立ちながら、カーキ色の軍服を着け、同じ色の軍帽をかむった兵士の一団と、垢に黒くなった百姓服を着け、縁のない頭巾をかむった男や、薄いキャラコの平常着を纏った女や、短衣をつけた子供、無帽の老人の群れが、村に蠢き、右往左往しているのを眺めていた。
— 黒島伝治 『パルチザン・ウォルコフ』 青空文庫
すると、包囲線をめがけて走せて来る汚れた短衣や、縁なし帽がバタバタ人形をころばすようにそこに倒れた。
— 黒島伝治 『パルチザン・ウォルコフ』 青空文庫
傾斜面に倒れた縁なし帽や、ジャケツのあとから、また、ほかの汚れた短衣やキャラコの室内服の女や子供達が煙の下からつづいて息せき現れてきた。
— 黒島伝治 『パルチザン・ウォルコフ』 青空文庫
けれども彼は、煙の中を逃げ出して来る短衣やキャラコも、子供や親があることを考えた。
— 黒島伝治 『パルチザン・ウォルコフ』 青空文庫
薄暗を、矢のように、上衣なしの短衣ずぼん、ちょうど休憩をしていたと見える宿直の医師がね、大方呼びに行ったものでしょう、看護婦が附添って、廊下を駆けつけて来たのに目礼をして、私は室へ戻ったですがね。
— 泉鏡花 『式部小路』 青空文庫
黒帽赤|短衣はここを通らなかった」「いや、まだ五頭通っただけです。
— SILVER BLAZE 『白銀の失踪』 青空文庫
膝の上まで截り開きたる短衣は裂け綻び、鬆く肩に纏へる外套めきたる褐色の布は垢つきよごれ、長き黒髮をば項に束ね、美しき目よりは恐ろしき光を放てり。
— IMPROVISATOREN 『即興詩人』 青空文庫
その夜、李陵は小袖短衣の便衣を着け、誰もついて来るなと禁じて独り幕営の外に出た。
— 中島敦 『李陵』 青空文庫