屋形舟
やかたぶね
名詞
標準
文例 · 用例
赤い毛氈を敷いた一艘の屋形舟は、一行を載せ、夏の川風に吹かれながら、鮎や鮠などの泳いでいる清い流れの錦川を棹さして下った。
— 河上肇 『御萩と七種粥』 青空文庫
こうして、茂太郎とムクとにからまれながら田山白雲は観瀾亭の下まで来ると、果して風流数寄な屋形舟が一つ、ちゃんとろかいをととのえて、酒席を設けて待構えていました。
— 白雲の巻 『大菩薩峠』 青空文庫
置舞台の正面に、屋形舟が一隻、その右に、しだれ柳、黒幕の背景、右掛りに赤毛氈の床がしつらわれて、黒紋付姿の地方姐さん連が五人、見台に唄方が三人、三味線が二挺。
— 火野葦平 『花と龍』 青空文庫
屋形舟の前に来て、傘をひらいた。
— 火野葦平 『花と龍』 青空文庫
釣舟も、猪牙舟も、屋形舟も、これから川へぞめき出る季節である。
— 吉川英治 『大岡越前』 青空文庫
まだあったぞ、もうひとり、お島がな」「その島とやらが、何といたしましたか」「遠島の身を、何としてか、江戸へ逃げ帰っていたが、先頃、義理の妹にあたる石焼豆腐のお次を誘うて、大川へ屋形舟を出し、細々と、心のうちを語って、身を投げて死んだという。
— 吉川英治 『大岡越前』 青空文庫