馥郁
ふくいく
形容詞-たる副詞-と
標準
fragrant
文例 · 用例
深窓の美姫、紅閨の艶姐、綾羅錦繍の袂を揃えて、一種異様の勧工場、六六館の婦人慈善会は冬枯に時ならぬ梅桜桃李の花を咲かせて、暗香堂に馥郁たり。
— 泉鏡花 『貧民倶楽部』 青空文庫
日の光は、あからさまに根の見ゆる、草の中へ淡くさして、枯れてしげれるむら薄は、燈火の影ぞと見ゆる、薄くれないに包まれたが、二人が立って背にした、山の腹は、暖かく照らされて、そこに実った黄金の枝は、露に蜜柑の薫を籠めて、馥郁として滴る気勢。
— 泉鏡花 『わか紫』 青空文庫
こうして親しげに話していて、隣に座っている娘と、何か紙一重|距てたような、妙な心の触れ合いのまま、食後の馥郁とした香煎の湯を飲み終えると、そこへ老主人が再び出て来て挨拶した。
— 岡本かの子 『河明り』 青空文庫
わたしの待つた消滅の薫りが馥郁としてわたしの骨に匂ひ出した。
— 岡本かの子 『雪』 青空文庫
高雅で馥郁として爽かにも物錆びた匂ひがする。
— 岡本かの子 『花は勁し』 青空文庫
あなたの、菊の花の絵は、いよいよ心境が澄み、高潔な愛情が馥郁と匂っているとか、お客様たちから、お噂を承りました。
— 太宰治 『きりぎりす』 青空文庫
艶やかな濡髪に、梅花の匂|馥郁として、繻子の襟の烏羽玉にも、香やは隠るる路地の宵。
— 泉鏡花 『婦系図』 青空文庫
この編の記者は、教頭氏、君に因って、男性を形容するに、留南奇の薫|馥郁としてと云う、創作的|文字をここに挟み得ることを感謝しよう。
— 泉鏡花 『婦系図』 青空文庫
作例 · 標準
扉を開けると、淹れたてのコーヒーの馥郁たる香りが部屋いっぱいに広がった。
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庭に咲き誇る沈丁花の馥郁とした香りに、春の訪れを確信する。
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熟成された古酒から放たれる馥郁たるアロマが、食卓を優雅に演出する。
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