踏台
ふみだい
名詞
標準
文例 · 用例
車掌は踏台から乗り出すようにして、ちょっと首をかしげて右の手でものを捧げるような手つきをしながら「もう一枚頂きましょう」と云ってニヤニヤした。
— 寺田寅彦 『雑記(1)』 青空文庫
その手で――一所に持って出たらしい、踏台が一つに乗せてあるのを下へおろした。
— 泉鏡花 『陽炎座』 青空文庫
」と古女房は、まくし掛けて、早口に饒舌りながら、踏台を提げて、小児たちの背後を、ちょこちょこ走り。
— 泉鏡花 『陽炎座』 青空文庫
ついでに言おう、人間を挟みそうに、籠と竹箸を構えた薄気味の悪い、黙然の屑屋は、古女房が、そっち側の二人に、縁台を進めた時、ギロリと踏台の横穴を覗いたが、それ切りフイと居なくなった。
— 泉鏡花 『陽炎座』 青空文庫
…… いま、腰を掛けた踏台の中には、ト松崎が見ても一枚の屑も無い。
— 泉鏡花 『陽炎座』 青空文庫
美しい女は瞳を注いだ、松崎は衝と踏台を離れて立った。
— 泉鏡花 『陽炎座』 青空文庫
不見識なのはもちに捏ちられた蠅の形で、窓にも踏台にも、べたべたと手足をあがいて附着く。
— 泉鏡花 『第二菎蒻本』 青空文庫
冗談にもせよ、人の作品を踏台にして、そうして何やら作者の人柄に傷つけるようなスキャンダルまで捏造した罪は、決して軽くはありません。
— 太宰治 『女の決闘』 青空文庫