鴨頭
こうとう
名詞
標準
文例 · 用例
このわたりの野に、鴨頭草のみおい出でて、目の及ぶかぎり碧きところあり、又秋萩の繁りたる処あり。
— 森鴎外 『みちの記』 青空文庫
鴨頭草鴨頭草のあはれに哀しきかな、わが袖のごとく濡れがちに、濃き空色の上目しぬ、文月の朝の木のもとの板井のほとり。
— 與謝野晶子 『晶子詩篇全集』 青空文庫
細い雨戸を開けたれば、脹れぼつたいやうな目遣ひの鴨頭草の花咲きみだれ、荒れた庭とも云ふばかりしつとり青い露がおく。
— 與謝野晶子 『晶子詩篇全集』 青空文庫
手の上の花鴨頭草の花、手に載せて見れば涼しい空色の花の瞳がさし覗く、わたしの胸の寂しさを。
— 與謝野晶子 『晶子詩篇全集』 青空文庫
鴨頭草の花、空色の花の瞳のうるむのは、暗い心を見|透して、わたしのために歎くのか。
— 與謝野晶子 『晶子詩篇全集』 青空文庫
鴨頭草の花、しばらくは手にした花を捨てかねる。
— 與謝野晶子 『晶子詩篇全集』 青空文庫
鴨頭草の花、夜となれば、ほんにそなたは星の花、わたしの指を枝としてしづかに銀の火を点す。
— 與謝野晶子 『晶子詩篇全集』 青空文庫
朝露に咲きすさびたる「鴨頭草之日斜共可消」思ほゆ(同巻十)これなどは、殊に前述の心理過程を示したものと言へよう。
— 折口信夫 『副詞表情の発生』 青空文庫