翳
さしは異読 さしば・えい・は
名詞多音語
標準
large fan-shaped object held by an attendant and used to conceal the face of a noble, etc.
文例 · 用例
街の片側は翳り、片側は日射しをうけて、あつたかいけざやかにもわびしい秋の午前です。
— 中原中也 『死別の翌日』 青空文庫
白馬岳の又の名を越後方面では大蓮華山といっている、或人の句に「残雪や御法の不思議蓮華山」とあるからは、これも一朶の白蓮華、晶々たる冬の空に、高く翳されて咲きにおうから、名づけられたのかも知れない。
— 小島烏水 『梓川の上流』 青空文庫
三ノ池は一ノ他の半分ほどしかないが、木が茂って松蘿が、どの枝からも腐った錨綱のようにぶら下っている、こればかりではない、葛、山紫藤、山葡萄などの蔓は、木々の裾から纏繞いて翠の葉を母木の胸に翳し、いつまでもここにいてと言わぬばかりに取り縋っている。
— 小島烏水 『梓川の上流』 青空文庫
それから、昼弁当の結飯をこしらえ、火に翳して、うす焦げにして置いて、小舎の傍から※って来た、一柄五葉の矢車草の濶葉に一つずつ包む。
— 小島烏水 『白峰山脈縦断記』 青空文庫
疲労の足を引き擦って、石壁の上に登りついたとき、眼は先ず晶々|粲々として、碧空に輝きわたる大雪田、海抜三千百八十九|米突の高頂から放射して、細胞のような小粒の雪が、半ば結晶し、半ば融けて、大気を含んだ、透明の泡が、岩の影に紫色を翳しているのに、眩ゆくなるばかりに駭いた、南方八月の雪!
— 小島烏水 『白峰山脈縦断記』 青空文庫
雲は東から西へと引いたように取れると一天は石灰洞のような大口を開けて、見る見るうちに次第にひろがり、碧い初冬の冴え返った空が、冷たい鯖色をした湖水のようになって、金光ちらりと黒砂に燃え落ちる、黒砂の一線、天に向って走るところ、頂上火口の赭禿げた土は、火を翳したように眩ゆくなる。
— 小島烏水 『雪中富士登山記』 青空文庫
翁は手を翳して眺める。
— 岡本かの子 『富士』 青空文庫
懐疑、躊躇、不信、探りごころ――こういう寒雲の翳は、冥通の取持つ善鬼たちが特に働きを鈍らす妨げのものであった。
— 岡本かの子 『富士』 青空文庫
作例 · 標準
大奥の女中が、お姫様の顔を翳で隠した。
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雅楽の演奏会で、優雅に翳が使われる場面があった。
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歴史書には、高貴な身分の者が翳を用いる様子が描かれている。
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ウィキペディア
翳(えい)は、殹・不光ともいい、春秋戦国時代の越の君主。
出典: 翳 — ウィキペディア / CC BY-SA 4.0