歌沢
うたざわ
名詞
標準
文例 · 用例
歌沢の或るもののうちに味わわれる渋味も畢竟、清元などのうちに存する「いき」の様態化であろう。
— 九鬼周造 『「いき」の構造』 青空文庫
かつその変位の程度は長唄においてはさほど大でないが、清元および歌沢においては四分の三全音にも及ぶことがあり、野卑な端唄などにては一全音を越えることがある。
— 九鬼周造 『「いき」の構造』 青空文庫
例えば歌沢の「新紫」のうちの「紫のゆかりに」のところはそういう形をもっている。
— 九鬼周造 『「いき」の構造』 青空文庫
坊主の娘だという一番|年嵩の、顔は恐いが新内は名取で、歌沢と常磐津も自慢の福太郎が、そういう時きっと呼ばれて、三味線を弾くのだった。
— 徳田秋声 『縮図』 青空文庫
触る帯の繻子、やはらかな粉、こころもきゆつきゆつと……夏の日のさる河岸に歌沢のこころいき。
— 北原白秋 『東京景物詩及其他』 青空文庫
鳴きそな鳴きそ春の鳥、歌沢の夏のあはれとなりぬべき大川の金と青とのたそがれに。
— 北原白秋 『東京景物詩及其他』 青空文庫
たつた一言きかしてくれ、丁度、弾きすてた歌沢の、三の絃の消ゆるやうに、「わたしはあなたを思つてる。
— 北原白秋 『東京景物詩及其他』 青空文庫
煉瓦の壁の側の瓦斯灯には松葉の輪に「歌沢」とちやんと書いてあるではないか。
— 木下杢太郎 『市街を散歩する人の心持』 青空文庫