顔容
がんよう
名詞
標準
文例 · 用例
悪左衛門をはじめ夥間一統、すなわちその人間の瞬く間を世界とする――瞬くという一秒時には、日輪の光によって、御身等が顔容、衣服の一切、睫毛までも写し取らせて、御身等その生命の終る後、幾百年にも活けるがごとく伝えらるる長い時間のあるを知るか。
— 泉鏡花 『草迷宮』 青空文庫
顔容に似ぬその志の堅固さよ。
— 泉鏡花 『草迷宮』 青空文庫
渋紙した顔に黒痘痕、塵を飛ばしたようで、尖がった目の光、髪はげ、眉薄く、頬骨の張った、その顔容を見ないでも、夜露ばかり雨のないのに、その高足駄の音で分る、本田|摂理と申す、この宮の社司で……草履か高足駄の他は、下駄を穿かないお神官。
— 泉鏡花 『茸の舞姫』 青空文庫
しかしどっちにしろ、顔容は判然今も覚えている。
— 泉鏡花 『縁結び』 青空文庫
若々しさと鋭さに緊張した顔容と話しぶりであった。
— 寺田寅彦 『備忘録』 青空文庫
そう云えば何となく、顔容も柔和での、石の地蔵尊に似てござるお人じゃそうなげな。
— 泉鏡花 『悪獣篇』 青空文庫
が、つい近くは、近く、一昔前は矢張り前、道理に於て年を隔てない筈はないから、十から三十までとしても、その間は言わずとも二十年経つのに、最初逢った時から幾歳を経ても、婦人二人は何時も違わぬ、顔容に年を取らず、些とも変らず、同一である。
— 泉鏡花 『霰ふる』 青空文庫
お辻の大柄な背のすらりとしたのとは違ひ、丈も至つて低く、顔容も小造な人で、髪も小さく結つて居た。
— 泉鏡花 『処方秘箋』 青空文庫