油皿
あぶらざら
名詞
標準
文例 · 用例
これは、下谷の、これは虎の門の、飛んで雑司ヶ谷のだ、いや、つい大木戸のだと申して、油皿の中まで、十四五挺、一ツずつ消しちゃ頂いて、それで一ツずつ、生々とした香の、煙……と申して不思議にな、一つ色ではございません。
— 泉鏡花 『菎蒻本』 青空文庫
前句は新畳を敷いた座敷である、それを通して前々句を見るとそこには行燈があり、その中から油皿の心像がありありと目に見える。
— 寺田寅彦 『連句雑俎』 青空文庫
その皿が畳の上におりて来る、見ているうちにその油皿が盃に変わって来る。
— 寺田寅彦 『連句雑俎』 青空文庫
されど油皿はとくゆり落されて、押さへたる我手に当り、畳の上に落ち、あたりへ油散りたり。
— 森鴎外 『伊沢蘭軒』 青空文庫
」「そこへ誰にかあらむ火|点して来ぬるに、あたりを見やれば、おのれは落ちたる行燈の油皿を何のためにか、しかと握りたり。
— 森鴎外 『伊沢蘭軒』 青空文庫
かわらけの油皿には燈心の灯が微かに揺らめいていた。
— 岡本綺堂 『箕輪心中』 青空文庫
柱に、二本の燈芯の油皿の灯があるっきりで、湯気と、暗さとが一緒になっていた。
— 直木三十五 『寺坂吉右衛門の逃亡』 青空文庫
それは葢であらうと、貧乏徳利であらうと、油皿、鰊皿であらうと、土瓶、どんぶり、片口、小鉢の類であらうと、そこに時代から生れた姿があれば先づ鑑賞の第一歩が惠まれるのである。
— 小野賢一郎 『やきもの讀本』 青空文庫