白歯
しらは
名詞
標準
文例 · 用例
浪のうねりと白歯が見える。
— ――人と海―― 『海の詩』 青空文庫
」「あんな事ばかり云って、」 と、主税を見て莞爾して、白歯を染めても似合う年紀、少しも浮いた様子は見えぬ。
— 泉鏡花 『婦系図』 青空文庫
」 と魚の渇けるがごとく悶ゆる白歯に、傾く鬢からこぼるるよと見えて、衝と一片の花が触れた。
— 泉鏡花 『婦系図』 青空文庫
それでも祟りに負けるなと、言うて、一生懸命、仰向かしった枕をこぼれて、さまで瘠せも見えぬ白い頬へかかる髪の先を、しっかり白歯で噛ましったが、お馴染じゃ、私が藪の下で待つけて、御新造様しっかりなさりまし、と釣台に縋ったれば、アイと、細い声で云うて莞爾と笑わしった。
— 泉鏡花 『草迷宮』 青空文庫
手毬を取って、美女は、掌の白きが中に、魔界はしかりや、紅梅の大いなる莟と掻撫でながら、袂のさきを白歯で含むと、ふりが、はらりと襷にかかる。
— 泉鏡花 『草迷宮』 青空文庫
白歯の色も涙の露、音するばかり戦いて。
— 泉鏡花 『縁結び』 青空文庫
婦人の意地と、張とのために、勉めて忍びし鬱憤の、幾十倍の勢をもって今満身の血を炙るにぞ、面は蒼ざめ紅の唇|白歯にくいしばりて、ほとんどその身を忘るる折から、見遣る彼方の薄原より丈高き人物|顕れたり。
— 泉鏡花 『琵琶伝』 青空文庫
……あはれな犠牲の婦人も、唯恁う申したばかりでは、夫も心に疑ひませう……今其の印を、と言ふてな、色は褪せたが、可愛い唇を動かすと、白歯に啣えたものがある。
— 泉鏡太郎 『神鑿』 青空文庫