心馳せ
こころばせ
名詞
標準
文例 · 用例
しかも、こうした彼の心馳せは、何もわれら偃松に限ったことか。
— 中村清太郎 『ある偃松の独白』 青空文庫
原に草、鄙唄うたひ山に樹々、老いてつましき心ばせ。
— 中原中也 『山羊の歌』 青空文庫
いつも楽しそうに見えるばかりか、心ばせも至って正しいので、孤児には珍しいと叔父をはじめ土地の者みんなに、感心せられていたのである。
— 国木田独歩 『少年の悲哀』 青空文庫
』 其處で學校を建る決心が彼の心に湧たのです、諸君は彼の決心の餘り露骨で、單純なことを笑はれるかも知れませんが、しかし元來教育のない一個の百姓です、寧ろ其心ばせの眞率で無邪氣な處を思へば實に美しさを感ずるのです、僕は。
— 国木田独歩 『日の出』 青空文庫
もし大阪の俳人月兎物もあらうに己が新婚の句をわざわざ活版屋の小僧に拾はせて製本屋の職工に綴ぢさせてその得意さを世間に披露したりとすれば甚だ心ばせの卑しき俳人といはざるを得ず。
— 正岡子規 『墨汁一滴』 青空文庫
姫の抱懐する心ばせには縦横に織り込まれる複雑な文彩が動いている。
— ――黙子覚書―― 『夢は呼び交す』 青空文庫
なお少しく増補するに、古今集|物名に、「いささめに時まつ間にぞ日は経ぬる心ばせをば人に見えつつ」とあるのは、「笹」を咏込むために、「いささめ」を用いた。
— 斎藤茂吉 『万葉秀歌』 青空文庫
彼の唐の太宗の鄭仁基が娘を元観殿に入れようとした時に魏徴が貞女既に陸士に約せりと云ったので元観殿に入れようとしたのをやめられたのにも勝った主上の御心ばせだと人々が申して居た。
— 宮本百合子訳 『「平家物語」ぬきほ(言文一致訳)』 青空文庫