実境
じっきょう
名詞
標準
文例 · 用例
うつくしい夢幻境が消えて、いかめしい現実境が来る、見ると、傍に老祖母がうとうとと睡っている。
— 種田山頭火 『夜長ノート』 青空文庫
古人の実境を詠ずる百歳の後合する所あり。
— 森鴎外 『伊沢蘭軒』 青空文庫
「針持つて遊女老いけり雨の月」は香以が実境の句であった。
— 森鴎外 『細木香以』 青空文庫
その鑑識に驚いて予が小沢という人に話し、小沢また岡崎氏に向って受け売りすると、恋愛の実境はそんな言では悉し得ない、すべて少年は縹緻を重んじ中年は意気を尚ぶ、その半老以後に及んではその事疎にして情|転た熾んに、日暮れ道遠しの事多し、ただ身分の健否を問うのみと言われた由。
— 馬に関する民俗と伝説 『十二支考』 青空文庫
実境に臨んで此種の書を読み且つ研究するほど痛切に得失を感ずることは無い。
— 市島春城 『読書八境』 青空文庫
ああ世人は斯くの如きの実境を得る事を知らず、只空しく一身一家を固守するの人にては、予が此現状を得る事無き人に対して自ら誇るのみならず其人をあわれに思うなり。
— 関寛 『関牧塲創業記事』 青空文庫
私はその当時の実境を目撃したわけではないが、以前子規居士から聞いた話や、最近国へ帰って極堂、霽月らの諸君から聞いた話やを綜合して見ると、大体その時の模様の想像はつくのである。
— 高浜虚子 『漱石氏と私』 青空文庫
おそらく実境でありましょう。
— 高浜虚子 『俳句とはどんなものか』 青空文庫