空池
からいけ
名詞
標準
文例 · 用例
亂後曲江 王駕憶昔曾遊曲水濱未春長有探春人遊春人盡空池在直至春深不似春(憶ふ昔し曾て曲水の浜に遊ぶや、未だ春ならざるに長へに春を探るの人有りしに、春に遊ぶの人尽きて空く池在り、直ちに春の深きに至りて春に似ず。
— 河上肇 『閑人詩話』 青空文庫
で、蚯蚓が土を出て炎天の砂の上をのさばる様に、かんかんと日の照る中を歩いてづぶ濡れに冷え切つた身体なり心なりを燬け附かせ度く成つたので、書院の庭の、此頃の旱に亀甲形に亀裂の入つた焼土を踏んで、空池の、日が目を潰す計りに反射する、白い大きな白河石の橋の上に腰を下した。
— 與謝野寛 『蓬生』 青空文庫
山茶花科の常緑樹を主として植え込み、空池をあしらった庭、その一部を袖垣で仕切って、濡れ縁をめぐらしてある奥の室には、まだ炬燵が拵えてあった。
— 豊島与志雄 『怒りの虫』 青空文庫
檜葉の茂み、楓の幹、空池の中の小石、それらは皆闇に包まれていたが、それらにまつわってるあの当時の思い出がしつこく頭に浮んできた。
— 豊島与志雄 『子を奪う』 青空文庫
彼女の珍らしがる物はいくらもあった、床の間の香爐、兼子の手提袋、幾代の室の人形柵、庭の隅の桜や椿の花弁、空池の底の小石、玩具に倦きるとそんなものまで持ち出された。
— 豊島与志雄 『子を奪う』 青空文庫
凸凹をなした庭の窪みに、小石を敷いた大きな空池があって、風に揺ぐ植込の茂みの間に、ちらちら見えていた。
— 豊島与志雄 『反抗』 青空文庫
リンクスは東雲仙火山と西雲仙火山の接触地点にあって、すぐ背後に矢岳を負い、矢岳と野岳との間の最低地|空池を控え、野岳と連接する妙見岳の裾野が、見事なスロープを作り最左方石割山との間に、寄生火山を持つ第一|吹越の障壁で、北を限った一大盆地がそれである。
— 菊池幽芳 『雲仙岳』 青空文庫
そこには目を遮る何ものもなく、空池の低地には池のほとり、滑らかな芝生から裾野へかけ、数百の馬が放牧されて画趣を添え、同じく一面の芝生であるリンクスの遥の斜面には点々として豆の如く、ゴルファーや普賢から下って来る人達がうごめいている。
— 菊池幽芳 『雲仙岳』 青空文庫