虚気
きょき
名詞
標準
文例 · 用例
」 あたかも、差置いた洋傘の柄につながった、消炭で描いた棒を視めて、虚気に、きょとんとする処へ、坂の上なる小藪の前へ、きりきりと舞って出て、老人の姿を見ると、ドンと下りざまに大な破靴ぐるみ自転車をずるずると曳いて寄ったは、横びしゃげて色の青い、猿眼の中小僧。
— 泉鏡花 『白金之絵図』 青空文庫
天満の天神様へ行た、その帰途に、つい虚気々々と、もう黄昏やいう時を、寄ってみたい気になって、貴女の餅屋へ土産買う振りで入ったら、」 と微笑みながら、二人を前に。
— 泉鏡花 『南地心中』 青空文庫
が、其に気が着く了見なら、こんな虚気な、――対手が鬼にしろ、魔にしろ、自分の女房を奪はれる馬鹿は見ない。
— 泉鏡太郎 『神鑿』 青空文庫
」十八「怪我、過失、病気なら格別、……如何に虚気なればと言つて、」 雪枝は老爺に此を語る時、濠端の草に胡座した片膝に、握拳をぐい、と支いて腹に波立つまで気兢つて言つた。
— 泉鏡太郎 『神鑿』 青空文庫
その口癖がつい乗った男の方は、虚気と惑溺を顕すものと、心付いた苦笑も、大道さなか橋の上。
— 泉鏡花 『日本橋』 青空文庫
その現々たるや、意味のごとく曖昧で、虚気としていたのか、ぼうとなっていたのか、それともちょいと寝たのか、我ながら覚束ないが、「ああ、奥さん、」 と返事をした声は、確に耳に入って、判然聞こえて、はッと一ツ胸を突かれて、身体のどっかが、がっくりと窪んだ気がする。
— 泉鏡花 『沼夫人』 青空文庫
もって、余りに頼効なき虚気の罪を、この佳人の前に購い得て余りあるものとしたのである。
— 泉鏡花 『註文帳』 青空文庫
それだから虚気手を出すなと言わねえことか。
— 泉鏡花 『活人形』 青空文庫