隠殿
いんでん
名詞
標準
文例 · 用例
谷中御隠殿の棗の木のある家で、蓮池のある庭にむかった室で、お比丘尼だった。
— 長谷川時雨 『木魚の配偶』 青空文庫
最初に兄が一家を構えたのは根岸|最寄で上野|御隠殿下の線路のすぐそばの新築の家でした。
— 小金井喜美子 『鴎外の思い出』 青空文庫
縁側から見ますと、向いの右手に御隠殿の急な坂の片端が見えるのでした。
— 小金井喜美子 『鴎外の思い出』 青空文庫
二 根岸は隠殿裏の武家出らしい母娘の家へ曲者が忍び込んで、用人あがりの中老人、市太郎というのを斬って逃げうせたのは、もう一と月も前のことでした。
— 第廿七吉 『銭形平次捕物控』 青空文庫
「あの娘をつけてみましたが、御隠殿裏へ真っ直ぐに帰るだけで、何の変哲もありませんよ。
— 第廿七吉 『銭形平次捕物控』 青空文庫
跡取りの謙之進様――十歳になったばかりのを屋敷にのこし、十二歳のお嬢様|早苗様というのと、お腰元のお菊、それに用人の市太郎をつれて、根岸の御隠殿裏の貸屋に籠った――不義の汚名を被せられ、親類一党から義絶された奥方としては、こうするよりほかに工夫はなかった」 平次の話はつづきました。
— 第廿七吉 『銭形平次捕物控』 青空文庫
その上で、御隠殿裏の奥方様の御隠れ家にお出で下されば、親御様の敵の名を申上げましょう。
— 第廿七吉 『銭形平次捕物控』 青空文庫
この後のことは、長々と書くと際限もありませんが、ざっと筋だけを通すと、その晩進藤勝之助は、深田琴吾、山家斧三郎の二人の悪者を取って押えて、御隠殿裏の奥方の隠れ家に飛込んで来たのでした。
— 第廿七吉 『銭形平次捕物控』 青空文庫