菟
菟
名詞
標準
文例 · 用例
巣から落ちた木菟の雛ッ子のような小僧に対して、一種の大なる化鳥である。
— 泉鏡花 『絵本の春』 青空文庫
」 木菟の女性である。
— 泉鏡花 『貝の穴に河童の居る事』 青空文庫
」 真暗な杉に籠って、長い耳の左右に動くのを、黒髪で捌いた、女顔の木菟の、紅い嘴で笑うのが、見えるようで凄じい。
— 泉鏡花 『貝の穴に河童の居る事』 青空文庫
姫は、赤地錦の帯脇に、おなじ袋の緒をしめて、守刀と見参らせたは、あらず、一管の玉の笛を、すっとぬいて、丹花の唇、斜めに氷柱を含んで、涼しく、気高く、歌口を―― 木菟が、ぽう、と鳴く。
— 泉鏡花 『貝の穴に河童の居る事』 青空文庫
夕暮の鷺が長い嘴で留ったようで、何となく、水の音も、ひたひたとするようだったが、この時、木菟のようになって、とっぷりと暮れて真暗だった。
— 泉鏡花 『みさごの鮨』 青空文庫
」 与五郎は呼吸を吐いて、「和尚が長い頭巾の頭を、木菟むくりと擡ると、片足を膝頭へ巻いて上げ、一本の脛をつッかえ棒に、黒い尻をはっと振ると、組違えに、トンと廻って、両の拳を、はったりと杖に支いて、(横須賀行はこちらかや。
— 泉鏡花 『白金之絵図』 青空文庫
――これは外套の頭巾ばかりを木菟に被って、藻抜けたか、辷落ちたか、その魂魄のようなものを、片手にふらふらと提げている。
— 泉鏡花 『薄紅梅』 青空文庫
在るものは欅並木に、冬の月、仕舞って帰った茶屋の婆が、仕舞い忘れた土産の木菟。
— 岡本かの子 『狐』 青空文庫