東奔
とうほん
名詞
標準
文例 · 用例
十一月××日 東奔西走、すっかり政治屋に成り果てた。
— 中島敦 『光と風と夢』 青空文庫
経費なんかはどうでもなれという気になって、東奔西走しているうちに妙なものだね。
— 夢野久作 『爆弾太平記』 青空文庫
その費用を調達のために俺は白真剣になって東奔西走したものだ。
— 夢野久作 『近世快人伝』 青空文庫
実際、あるものをめがけて、まっしぐらに駆けり出そうとするような熱い思いはありながら、家を捨て妻子を顧みるいとまもなしにかつて東奔西走した同門の友人らがすることをもじっとながめたまま、交通要路の激しい務めに一切を我慢して来た彼である。
— 第二部下 『夜明け前』 青空文庫
沼南はまた晩年を風紀の廓清に捧げて東奔西走廃娼禁酒を侃々するに寧日なかった。
— 内田魯庵 『三十年前の島田沼南』 青空文庫
彼は謹厳実直の郷士で、一滴の酒も嗜むことなく夙に竜巻村小字界隈の風教改革運動に東奔西走して寧日もなき人であります。
— 牧野信一 『月あかり』 青空文庫
武術は島田虎之助に学び、蘭学は永井青涯に師事し、一世を空うする英雄であったが、慶喜に一切を任せられるに及び、大久保一翁、山岡鐡舟などと、東奔西走心胆を砕き、一方旗本の暴挙を訓め、他方官軍の江戸攻撃を食い止めようと努力した。
— 国枝史郎 『大捕物仙人壺』 青空文庫
が、スミスの真個の活動は、一九〇三年に開始されて、引き続いて六年間、彼は東奔西走席の暖まる暇もなく女狩りに従事して多忙を極めた。
— 牧逸馬 『浴槽の花嫁』 青空文庫