尾の上
おのえ
名詞
標準
文例 · 用例
次に、複合する下の語の語頭音が母音一つから成る音(アイウエオ)である時、その音が上の語の語尾音と合して一音となることがある(荒磯―ありそ、尾の上―をのへ、我が家―わぎへ、漕ぎ出で―こぎで)。
— 橋本進吉 『国語音韻の変遷』 青空文庫
彼の笑といふ笑は哄笑であり、その度に鳩尾の上辺りに垂れてゐる白の、幅広く厚くもある旧式の羽織紐が、トロントロンと揺れた。
— 中原中也 『校長』 青空文庫
もちろん、その上に、尾の上の背骨に針を打ち込んだりするそうであるが、このようにものをかぶせる事が「針よりも大切なまじない」だと考えられている。
— 寺田寅彦 『怪異考』 青空文庫
風出でて山鳴ふかき日の暮は遥かに恋し海の汐鳴山上の黎明ひようひようと風吹きとほる山の秀は月かげ白し夜明けたらしも雪ふかき山の尾の上に啼く鶏の啼き応ふ鶏の声のしたしさ道のべの春きさらぎや多摩の山方、まだ寒き障子の内、人影の、手に織る機の、ていほろよ筬うつらしき。
— 北原白秋 『海阪』 青空文庫
尾の上には人さはに据ゑ。
— 長塚節 『長塚節歌集 上』 青空文庫
その隊列が終らんとするところに、一人の小児が紅い旗を持ち、蛇の尾の上に立って踊りつ舞いつ行き過ぎた。
— 録異記 『中国怪奇小説集』 青空文庫
見ると、耳のとがった、尻尾の上に巻き揚がった猟犬をも連れている。
— 第一部下 『夜明け前』 青空文庫
音に聞えし石佛の路しるべせんかと云ひたれど、二子かぶり振りければ、さらば山を下らむとて、われ口吟すらく、尾の上には足ふみ入れむかたもなし 妻とふ鹿の聲ちかくしてと。
— 大町桂月 『房州紀行』 青空文庫