然有らぬ
さあらぬ
連体詞
標準
casual
文例 · 用例
柏はざらざら雲の波、早くも黄びかりうすあかり、その丘のいかりはわれも知りたれどさあらぬさまに草むしり行く、もう夕方だ、はて、この沼はまさか地図にもある筈だ。
— 宮沢賢治 『沼森』 青空文庫
いや、こうも、他愛のない事を考えるのも、思出すのも、小北の許へ行くにつけて、人は知らず、自分で気が咎める己が心を、我とさあらぬ方へ紛らそうとしたのであった。
— 泉鏡花 『国貞えがく』 青空文庫
」 と言い懸けて、渋茶にまた舌打しながら、円い茶の子を口の端へ持って行くと、さあらぬ方を見ていながら天眼通でもある事か、逸疾くぎろりと見附けて、「やあ、石を噛りゃあがる。
— 泉鏡花 『草迷宮』 青空文庫
とはいえども渠はさあらぬ体に答えたりき。
— 泉鏡花 『義血侠血』 青空文庫
だが、それを口に出すのは気の毒なのでさあらぬ体に言った。
— 岡本かの子 『鶴は病みき』 青空文庫
」 と言ったが右の手を新吉の出した左の腕にかけるとまたさあらぬ態度になり、胸を張って歩き出した。
— 岡本かの子 『巴里祭』 青空文庫
「小布施さん此頃私に何か用で逢ひ度いと云つてゐなかつたかね」桂子は必死にさあらぬ態を装つて訊いた。
— 岡本かの子 『花は勁し』 青空文庫
」 と始めて金盥を覗込んで俯向いた時、人知れず目をしばたたいたが、さあらぬ体で、「御清書ですかい。
— 泉鏡花 『婦系図』 青空文庫
作例 · 標準
彼はさあらぬ顔をして、何も知らないふりをしていた。
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