御玉杓子
おたまじゃくし
名詞
標準
文例 · 用例
蠢々として御玉杓子のごとく動いていたものは突然とこの底のない坑のうちに落ちて、浮世の表面から闇の裡に消えてしまった。
— 夏目漱石 『趣味の遺伝』 青空文庫
一坪に足らぬ腐れた水でも御玉杓子のうじょうじょ湧く所は怖しい。
— 夏目漱石 『虞美人草』 青空文庫
いわんや高等なる文明の御玉杓子を苦もなくひり出す東京が怖しいのは無論の事である。
— 夏目漱石 『虞美人草』 青空文庫
さうして眞黒の群衆が、何十萬とも數知れずに押し合ひながら、お玉杓子のやうに行列して居る。
— 萩原朔太郎 『悲しい新宿』 青空文庫
四辺に似ない大構えの空屋に、――二間ばかりの船板塀が水のぬるんだ堰に見えて、その前に、お玉杓子の推競で群る状に、大勢|小児が集っていた。
— 泉鏡花 『陽炎座』 青空文庫
木偶之坊も拵へれば、内職にお玉杓子も売つたでがす。
— 泉鏡太郎 『神鑿』 青空文庫
という中にも、随分気の確な女、むずかしく謂えば意志が強いという質で、泣かないが蒼くなる風だったそうだから、辛抱はするようなものの、手元が詰るに従うて謂うまじき無心の一つもいうようになると、さあ鰌は遁る、鰻は辷る、お玉杓子は吃驚する。
— 泉鏡花 『葛飾砂子』 青空文庫
やい、売婦め、お玉杓子め、汚らわしい!
— 泉鏡花 『湯島詣』 青空文庫