微音
びおん
名詞
標準
文例 · 用例
船の方では船底に仕掛けた微音機でこの音を聞くという細工である。
— 寺田寅彦 『話の種』 青空文庫
時に万籟寂として、地に虫の這う音も無く、天は今にも降せんずる、霙か、雪か、霰か、雨かを、雲の袂に蔵しつつ微音をだに語らざる、その静さに睡りたりし耳元に、「カチン」と響く鉄槌の音は、鼓膜を劈きて予が腸を貫けり。
— 泉鏡花 『黒壁』 青空文庫
「むやみに虫が鳴きますね」 こう言いながら座敷へおはいりになった院は御自身でも微音に阿弥陀の大誦をお唱えになるのがほのぼのと尊く外へ洩れた。
— 鈴虫 『源氏物語』 青空文庫
ウィリアムは茫然としてこの微音を聞いている。
— 夏目漱石 『幻影の盾』 青空文庫
徐ろに、教授の微音が唇から洩れ初めると、待ち構へてゐた無数のペン先は、機織機械のやうにサラサラと活動し初めた。
— 牧野信一 『妄想患者』 青空文庫
彼の耳の底には、ジーンといふ微音が残る。
— 牧野信一 『眠い一日』 青空文庫
「あれは顕微音器さ。
— 海野十三 『階段』 青空文庫
女史が僕にきかせた釦の話は、未だに解らないが、あの顕微音器のことを、マイクロフォンボタンというから、何かその辺のことをもじって事件の混乱を計画したものであろうと思われる。
— 海野十三 『階段』 青空文庫