泥壁
どろかべ
名詞
標準
文例 · 用例
馬の横腹から頬の辺まで、雨上がりの泥濘がべっとりついて塗り立ての泥壁を見るようである。
— 寺田寅彦 『断片(1)』 青空文庫
すぐ横町の路次のなかに、このごろ新しく建てられた、安普請の平屋がそれで、二人はまだ泥壁に鋸屑の散っている狭い勝手口から上って行くと、台所や押入れの工合を見てあるいた。
— 徳田秋声 『足迹』 青空文庫
其処は小さな聚落で家の周囲に楡の樹を植えた泥壁の農家が並んでいた。
— 田中貢太郎 『竇氏』 青空文庫
屋根が變に、傾いたり、泥壁にはみんなひゞが入つたり、家の中は、外から一寸分らない程薄暗かつた。
— 小林多喜二 『防雪林』 青空文庫
由は裂目が澤山入つて、ボロ/\にこぼれる泥壁に寄りかゝりながら、ランプのホヤを磨きにかゝつた。
— 小林多喜二 『防雪林』 青空文庫
一 「ドンドン、ドン」 泥壁には地図のように割目が入っていて、倚りかかると、ボロボロこぼれ落ちた。
— 小林多喜二 『不在地主』 青空文庫
背で、泥壁がボロボロこぼれ落ちた。
— 小林多喜二 『不在地主』 青空文庫
後の泥壁に大きくうつッている皆の影が、その度に、あやつられるように延びたり、ちぢんだりした。
— 小林多喜二 『不在地主』 青空文庫