幻辞.com

賄い所

まかないどころ
名詞
1
標準
文例 · 用例
その中を踏み散らして広い運動場を一回りするうちに、赤い日影が時計台を染めて賄所の井戸が威勢よくきしり始めるのであった。
寺田寅彦 花物語 青空文庫
六十九 病室の片隅に、小さい薄縁を敷いてある火鉢の傍で、ここの賄所から来る膳や、毎日毎日家から運んでくる重詰めや、時々は近所の肴屋からお銀が見繕って来たものなどで、二人が小さい患者の目に触れないようにして飯を食う日が、三十幾日と続いた。
徳田秋声 青空文庫
これは大賄所という支度を司る役所の引けた後小使部屋から出火したので、既に私どもは退庁していたが、聞くと直に馳け付けたけれど、火勢が盛んで消防どころか、殆ど何一つ出す事が出来なかった。
内藤鳴雪 鳴雪自叙伝 青空文庫
――親きょうだいの身寄りもないというので、新出先生がここの賄所で手伝いでもしていろと云われた。
徒労に賭ける 赤ひげ診療譚 青空文庫
――賄所と呼ばれる炊事場に、お雪という娘がいて、あれが半太夫の恋人だと、津川に教えられたことがあったが、お杉の話によると、お雪のほうが片想いで、半太夫はお雪を避けているということであった。
狂女の話 赤ひげ診療譚 青空文庫
部屋にこもっていることが少なくなり、外へ出てなにかかにかする、薬園へでかけていって、鋸や鉋を借りだし、柵の毀れを直したり賄所の羽目板を打付けたりする。
三度目の正直 赤ひげ診療譚 青空文庫
朝夕はきまって、お杉の手籠を持ってやるし、たびたび賄所へいって刃物を研いだり、俎板を削ったり、ときには菜を洗う手伝いまでする、ということであった。
三度目の正直 赤ひげ診療譚 青空文庫
墨絵 小砂利を掃くお六尺も、お賄所の門をくぐる出入商人も、すべて、新しい法被を着ていた。
吉川英治 新編忠臣蔵 青空文庫