山籠もり
やまごもり
名詞
標準
文例 · 用例
が、あちらのは、風説にも聞きますれば、私も見ました、と申しますのが、そこからさまで隔てませぬ、石動の町をこの峠の方へ、人里離れました処に、山籠りを致しております。
— 泉鏡花 『星女郎』 青空文庫
二年越しの山籠りの生活を僧都は語ってから、「僧の家というものはどうせ皆寂しい貧弱なものですが、ここよりは少しきれいな水の流れなども庭にはできておりますから、お目にかけたいと思うのです」 僧都は源氏の来宿を乞うてやまなかった。
— 若紫 『源氏物語』 青空文庫
「まだ今年じゅうは山籠りのお誓いがしてあって、お帰りの際に京までお送りしたいのができませんから、かえって御訪問が恨めしく思われるかもしれません」 などと言いながら僧都は源氏に酒をすすめた。
— 若紫 『源氏物語』 青空文庫
妙義へ戻った翌る日に、僕は再び赤座のところへ絵葉書を送って、仕事の都合で十月の末ごろまではこっちに山籠りをするつもりだと言ってやった。
— 岡本綺堂 『青蛙堂鬼談』 青空文庫
それから前引の「波の音聞かずがための山籠り苦は色かへて松風の声」てふ歌は、熊野の神さえ海辺で波、山中で松風の音が耳に障る。
— 猴に関する伝説 『十二支考』 青空文庫
畜生|乍らに、亡くなつた主人を慕ふかと、人々も憐んで、是から雪の降る時節にでも成らうものなら何を食つて山籠りする、と各自に言ひ合つた。
— 島崎藤村 『破戒』 青空文庫
水垢離と、極度の節食と、時には滝にまで打たれに行った山籠りの新しい経験をもって、もう一度彼は馬籠の駅長としての勤めに当たろうとした。
— 第一部上 『夜明け前』 青空文庫
山長の眼をかすめるために、あの女を男に仕立てゝ山籠りをさせようといふことになつてゐるんだな。
— ミツキイのジヨンニイ 『山男と男装の美女』 青空文庫