早蕨
さわらび
名詞
標準
freshly budded bracken
文例 · 用例
もののあはれにふる雨は、さもこそあれや、早蕨のその芽に茎に渦巻きてはやも「五月」は沁むものをなにかさみしきそのおもひ。
— 北原白秋 『東京景物詩及其他』 青空文庫
もう早蕨が、萠え始めたと見えるな。
— 菊池寛 『袈裟の良人』 青空文庫
寒い冬の間のながい夢からさめて、これから思う存分|軽噪ごうというその前に、あっちでも、こっちでも、さも四辺の立聞をでも気づかうように、そっと内証で声試しをしているあの音を聞きますと、ちょうど土塊をおし分けて、むっくり頭をもち上げた早蕨か菌かを見るような、無邪気と悪戯っ気とが味わわれます。
— 薄田泣菫 『初蛙』 青空文庫
山の落葉松が薄く緑にかすんで、その下に短く早蕨が萠えはじめてゐた。
— 今井邦子 『雪解水』 青空文庫
14※よし足引の山めぐり、四季のながめも面白や、梅が笑えば柳が招く、風のまにまに早蕨の、手を引きそうて弥生山…… その翌日の午後であったが、小堀義哉は裏座敷で、清元の『山姥』をさらっていた。
— 国枝史郎 『大捕物仙人壺』 青空文庫
乱れ起る岩石を左右に※る流は、抱くがごとくそと割れて、半ば碧りを透明に含む光琳波が、早蕨に似たる曲線を描いて巌角をゆるりと越す。
— 夏目漱石 『虞美人草』 青空文庫
焼肴に青いものをあしらって、椀の蓋をとれば早蕨の中に、紅白に染め抜かれた、海老を沈ませてある。
— 夏目漱石 『草枕』 青空文庫
私の父は何代となく宮廷に仕えた公卿の家で、明治維新のためにもいくらかの功労者でありましたから相当の役にもついていましたし父の妹は、官名を早蕨典侍とよばれて、明治天皇の側近に仕えていました。
— 柳原白蓮 『私の思い出』 青空文庫
作例 · 標準
春の山菜採りでは、柔らかい早蕨を見つけるのが一番の楽しみだ。
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早蕨のおひたしは、春の訪れを感じさせる素朴な味わいがある。
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万葉集にも詠まれている早蕨は、古くから日本人に愛されてきた。
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