聴神
ちょうしん
名詞
標準
文例 · 用例
宅のうちが静かなので、鋭どい代助の聴神経には善く応へた。
— 夏目漱石 『それから』 青空文庫
宅のうちが静かなので、鋭どい代助の聴神経には善く応えた。
— 夏目漱石 『それから』 青空文庫
ある時は五六分続いて自分の聴神経を刺激する事もあったし、またある時はその半にも至らないでぱたりとやんでしまう折もあった。
— 夏目漱石 『変な音』 青空文庫
とりわけて僕の聴神経は過敏になっているので、河鹿の声までがいつもよりは耳について、もしや隣りの声ではないかと幾たびか脅かされた。
— 岡本綺堂 『河鹿』 青空文庫
若林博士は、その喇叭型の小さい方の一端を、少女の屍体の左の乳房の下に当てがいまして、他の一端を覆面の下から、自分の耳に押当てて、一心に聴神経を集中しているようで御座います。
— 夢野久作 『ドグラ・マグラ』 青空文庫
その化学式は調べて見ませぬから判然致しませぬが、一種の多価|木精であります事はたしかで、豚や犬等によって実験した結果を見ますと、先ず聴神経を犯されて、次に視神経を破壊してしまいますが、心臓には絶対に影響しないようであります。
— 夢野久作 『暗黒公使』 青空文庫
それから私はソロソロと扉の処へ帰って来て、聴神経を遠くの方まで冴え返らせながら、ソット扉を細目に開いてみると、相変らず誰も居ない。
— 夢野久作 『一足お先に』 青空文庫
のみならず私の聴神経はもっと遠い処から来るほかの音響までも、同時に聴こうとしているのであった。
— 夢野久作 『鉄鎚』 青空文庫