眄
眄
名詞
標準
文例 · 用例
眼については、流眄が媚態の普通の表現である。
— 九鬼周造 『「いき」の構造』 青空文庫
流眄、すなわち流し目とは、瞳の運動によって、媚を異性にむかって流し遣ることである。
— 九鬼周造 『「いき」の構造』 青空文庫
あいつは何時も俺に流眄ばかり遣つてる。
— 中原中也 『山間秘話』 青空文庫
どうせ、私には名文も美文も書けやしないのだから、くどくどと未練がましい申しわけを言うのはもうやめて、ただ「辞ハ達スル而已矣」という事だけを心掛けて、左顧も右眄もせずに書いて行けばいいのであろう。
— 太宰治 『惜別』 青空文庫
あの同胞の表情を見た以上は、もう左顧も右眄もして居られません。
— 太宰治 『惜別』 青空文庫
おぼろげながら、それと察知できても、人々は何かの理由で大事をとつて、いたづらに右顧左眄し、笑ひにまぎらはし、確言を避ける風である。
— 太宰治 『檀君の近業について』 青空文庫
暫くは其まゝで居たが遂に辛棒しきれなくなり、少年は眄目に父を見て、鈍い聲で『父さん――父さん、これを口へ入れて下さいよう。
— 国木田独歩 『怠惰屋の弟子入り』 青空文庫
その隙間は氏が熱情的な理想家のやうに見え乍ら、その底に於ては理智が働き過ぎるといふ結果から、周圍に對してどうしても左顧右眄せずには居られないといふところがあるかも知れません。
— 南部修太郎 『三作家に就ての感想』 青空文庫