破れ畳
やれだたみ
名詞
標準
文例 · 用例
その間に半七は垣を破って内へ駈け込むと、破れ畳にもなまなましい血が流れて、うす暗い家のなかに幽霊のような若い女が、さながら喪神したようにべったりと坐っていた。
— 大森の鶏 『半七捕物帳』 青空文庫
あいにくと、そのぬるぬるしたやつが、床に落ちたこんにゃくのようにぶるぶると胴ぶるいしている伝六の首筋へぺったりと来たものでしたから、もうことばはないので――、きゃっといったきり、破れ畳の上へしがみついてしまいました。
— 笛の秘密 『右門捕物帖』 青空文庫
女は破れ畳に白い顔を摺りつけて泣いているのを、友蔵はおもしろそうに眺めながら茶碗酒を呷っていた。
— 二人女房 『半七捕物帳』 青空文庫
通夜の連中に飲ましてやるつもりで、残しておいた酒は一滴も残らず破れ畳が吸い込んで、そこいら一面、真赤になって酔払っている。
— 夢野久作 『近世快人伝』 青空文庫
そうした門構えを入ると、本堂の阿弥陀様と背中合わせの板敷土間に破れ畳の二畳敷、竹瓦葺の板廂、ガタガタ雨戸に破れ障子の三方仕切は、さながらに村芝居の道具立をそのまま。
— ――博多名物非人探偵 『狂歌師赤猪口兵衛』 青空文庫
博多の町の南の出外れ、万延寺の本堂と背中合わせの竹瓦に板庇、板敷土間に破れ畳二枚、ガタガタ雨戸の嵌め外しがやはり二枚という、乞食小舎の豪華版から、墓原越しに見晴らす筑紫野は、これも晩春の豪華版であろう。
— ――博多名物非人探偵 『狂歌師赤猪口兵衛』 青空文庫
わが酒の相手は軒の梅桜 風に浮かれてチリテツトシャン世の中は三分五厘風鈴の ふところ合ひがチリンカラカラ その風鈴に近い破れ畳の上に、調子悪そうにキチンと坐っているのは相当の商家の若旦那様と見える、二十歳前後のオットリした優男。
— ――博多名物非人探偵 『狂歌師赤猪口兵衛』 青空文庫
思い込んだ涼しい瞳で赤猪口兵衛の恐縮顔を見上げると、又も破れ畳にピッタリと額をスリ付けた。
— ――博多名物非人探偵 『狂歌師赤猪口兵衛』 青空文庫