騒ぎ立つ
さわぎたつ
動詞
標準
文例 · 用例
主も働いてくれ、さあ、来い、』と若いものを連れて、どたばた引上げる時分には、部屋の前から階子段の上へ掛けて、女中まじりに、人立ちがするくらゐ、二階も下も何となく騒ぎ立つ。
— 泉鏡太郎 『神鑿』 青空文庫
膝の辺りへ一条の糸が懸ったのを、一生懸命両方から引張って、「雁が一羽懸った、」「懸った、懸った、」と夢中になり、口々に騒ぎ立つのは、大方獲物が先刻のごとく足を取られたと思ったろう。
— 泉鏡花 『黒百合』 青空文庫
艸花立樹の風に揉まれる音の颯々とするにつれて、しばしは人の心も騒ぎ立つとも、須臾にして風が吹罷めば、また四辺蕭然となって、軒の下艸に集く虫の音のみ独り高く聞える。
— 二葉亭四迷 『浮雲』 青空文庫
自分でも驚くほど神経が騒ぎ立つのをどうする事もできなかった。
— 有島武郎 『或る女』 青空文庫
と、大小の芸妓らはいふに及ばず、主人役の小西までが騒ぎ立つて、試験を始めた。
— 坪内逍遙 『斎藤緑雨と内田不知菴』 青空文庫
が、瑠璃子の声に騒ぎ立つた女中は、声を振り搾つて老爺を呼んだ。
— 菊池寛 『真珠夫人』 青空文庫
皆が有頂天になつて騒ぎ立つてゐる一刹那、どうした機みか氷はばり/\と音を立てて割れた。
— 大正七(一九一八)年 『茶話』 青空文庫
すると遽かに彼の魂は騒ぎ立つて、オクサーナのことよりほかには何ひとつ考へられなくなつてしまつた。
— VECHERA NA HUTORE BLIZ DIKANIKI 『ディカーニカ近郷夜話 後篇』 青空文庫