推重
すいちょう
名詞
標準
文例 · 用例
声が高いのでもう一人、奥からばたばたと女中が出て来て、推重なると、力を得たらしく以前の女中が、「ほんとうにお前さん、お座敷が無いのですよ。
— 泉鏡花 『婦系図』 青空文庫
学園創立に当って帰朝し、学園のスタッフとなり、そのスポーツ上の新智識と、理想家肌のところは学園の教職員のみならず一般女子体育家の間にも推重された。
— 岡本かの子 『生々流転』 青空文庫
どれが雌だか、雄だか、黒人にも分らんで、ただこの前歯を、」 と云って推重なった中から、ぐいと、犬の顔のような真黒なのを擡げると、陰干の臭が芬として、内へ反った、しゃくんだような、霜柱のごとき長い歯を、あぐりと剥く。
— 泉鏡花 『露肆』 青空文庫
が、魚軒は推重する。
— 泉鏡太郎 『麻を刈る』 青空文庫
此の孤鳳皇を見るというに至っては、推重も亦至れり。
— 幸田露伴 『運命』 青空文庫
畜産熱心家で見職も高く、同業間にも推重されておった。
— 伊藤左千夫 『箸』 青空文庫
同窓の須川隆白は、同じ弘前藩の子弟であつたので、常に恒善を推重し、寝具の揚卸、室内の掃除は自らこれに任じ、恒善に手を下させなかつた。
— 森鴎外 『伊沢蘭軒』 青空文庫
やがて重き物など引くらんやうに彼の漸く踵を旋せし時には、推重るまでに柵際に聚ひし衆は殆ど散果てて、駅夫の三四人が箒を執りて場内を掃除せるのみ。
— 尾崎紅葉 『金色夜叉』 青空文庫