来懸
らい懸
名詞
標準
文例 · 用例
「其の時来懸つたのは、何うも、此の原の、向ふの取着であつたらしい。
— 泉鏡太郎 『神鑿』 青空文庫
』と向ふ廊下から早足で、すた/\来懸つた女中が一人、雪枝を見て立停まつた。
— 泉鏡太郎 『神鑿』 青空文庫
と気軽に飛出し、表門の前を足早に行懸れば、前途より年|少き好男子の此方に来懸るにはたと行逢いけり。
— 泉鏡花 『活人形』 青空文庫
最初の裡くねくねと体を蠢めかして居た妻も、軈ては気力尽きてぐったり動かなくなったのを見済まして、私は悠然と落ちた帽子を拾い着崩れた着物の襟を合わせ、是でいいんだ、ふん、是でいいんだ、と呟き乍ら、一歩一歩念を押す気持で石段を下り、来懸る円タクを留めようと至極呑気な気持で待って居りました。
— 西尾正 『陳情書』 青空文庫
その夕月の光の下に、おのが淡い影を踏みながら、言葉のあやも面白おかしく、舞いつ踊りつ来懸ったのは、この春頃から江戸中を、隈なく歩き廻っている飴売土平。
— 邦枝完二 『おせん』 青空文庫
一軒、煮染屋の前に立ちて、買物をして居た中年増の大丸髷、紙あまた積んだる腕車を推して、小僧三人向うより來懸りしが、私語して曰く、見ねえ、年明だと。
— 泉鏡花 『彌次行』 青空文庫
旦那お相乘參りませう、と折よく來懸つた二人乘に這ふやうにして二人乘込み、淺草まで急いでくんな。
— 泉鏡花 『彌次行』 青空文庫
が――あゝ、之を元來懸念した。
— 泉鏡太郎 『雨ふり』 青空文庫