垂んとす
なりなんとす異読 なんなんとす
表現
標準
to close in on (a certain age, etc.)
文例 · 用例
銀明水に達したるは午後七時に垂んとす、浅間社前の大石室に泊す、客は余を併せて四組七人、乾魚一枚、麩の味噌汁一杯、天保銭大の沢庵二切、晩餐の総べては是の如きのみ、葉マキ虫の葉を綴りて寝ぬる如く、一同皆|蒲団に包まりて一睡す。
— ――明治三十六年八月七日御殿場口にて観察―― 『霧の不二、月の不二』 青空文庫
時計を見れば早や十一時に垂んとす。
— 尾崎紅葉 『金色夜叉』 青空文庫
(八)の二 片側町なる坂町は軒並に鎖して、何処に隙洩る火影も見えず、旧砲兵営の外柵に生茂る群松は颯々の響を作して、その下道の小暗き空に五位鷺の魂切る声消えて、夜色愁ふるが如く、正に十一時に垂んとす。
— 尾崎紅葉 『金色夜叉』 青空文庫
11 それは事件があってから、もう一ヶ月に垂んとする頃の出来ごとだった。
— 海野十三 『棺桶の花嫁』 青空文庫
誰だって満四年に垂んとする昔に果して清正公前に電車が開通していたかどうかと云う事は、電車線が恰度その時分に新しく敷かれたのだから確に記憶していよう筈がない。
— 甲賀三郎 『支倉事件』 青空文庫
真斎は相当著名な中世史家で、この館の執事を勤める傍に、数種の著述を発表しているので知られているが、もはや七十に垂んとする老人だった。
— 小栗虫太郎 『黒死館殺人事件』 青空文庫
先づ私の興味をひいたことと云へば、軍人軍属に非ざる日本人、つまり、個人として商売を目的に既にこの土地にはひり込んで来てゐる日本人の数が、老若男女を合せて数百名に垂んとするといふことである。
— 岸田國士 『北支物情』 青空文庫
「政治には素なり、八十に垂んとする老躯をひっさげて、諸君の陣頭に立つは、自ら鑑みて悲壮の感あるも、大命を拝せし以上は陣頭に立ちて突進せん、諸君はわが屍をのり越えて進撃せられたし、但し大いに若返ってやります」といった要旨。
— 海野十三 『海野十三敗戦日記』 青空文庫
作例 · 標準
「私も還暦に垂んとす年になり、健康のありがたみがつくづく身に染みるよ」
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日が没せんとす時刻、家路を急ぐカラスの群れがオレンジ色の空を横切った。
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九十の大台に垂んとす祖父は、今でも毎朝一時間の散歩を欠かさない。
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