抂
抂
名詞
標準
文例 · 用例
私には前云ったように窓をむいてるたのしみが、無上に思われて来た時であったから、この気持を抂げることが第一苦しかった。
— 鷹野つぎ 『窓』 青空文庫
娘はあなたの方がどうか慥に極りのつかぬうちは他の縁談は聞かさないでくれといふ次第だといつて「抂げてもどうか兄の一家のものを安心させて戴くことは出來ますまいか」 といふ至極穩かな申出である。
— 長塚節 『開業醫』 青空文庫
爲メニ遂ニ國家ノ法律ヲ抂ゲテ自國民ヲ保護シ彼等ノ財産ヲ奪ハントスル非違ヲ頻出シ不仁ノ名ヲ國家ニ冠セシムルニ至ル。
— 北一輝 『日本改造法案大綱』 青空文庫
デスクの上に頬杖を抂いて、かう下向になつて何時でも真面目に講義を聴いてゐたところは、何処かアルフレッド大王に肖てゐたさ」 荒尾は仰ぎて笑へり。
— 尾崎紅葉 『金色夜叉』 青空文庫
例えば井戸に物が墜ちたと云えば、如何云う塩梅にして之を揚げるとか、箪笥の錠が明かぬと云えば、釘の尖などを色々に抂げて遂に見事に之を明けるとか云う工風をして面白がって居る。
— 福翁自伝 『福翁自伝』 青空文庫
ことに今夜、駕を抂げたぞと言わんばかりに、こうしてやって来たのが、今いった政府の文書課長。
— 新版大岡政談 『魔像』 青空文庫
神戸牧師にして見れば、証人として立った以上、事実を抂げて陳述する事は出来ない。
— 甲賀三郎 『支倉事件』 青空文庫
又実際彼は殊更に事実を抂げて申述べる事をする人でもなければ出来る人でもない。
— 甲賀三郎 『支倉事件』 青空文庫