宸筆
しんぴつ
名詞
標準
文例 · 用例
畏れ多い限りではあるが『慶長軍記抄』に依れば「万乗の天子も些少の銭貨にかへて宸筆を売らせ給ひ、銀紙に百人一首、伊勢物語など望みのまゝをしるせる札をつけて、御簾に結びつけ、日を経て後|詣づれば宸筆を添へて差し出さる」とある。
— 菊池寛 『応仁の乱』 青空文庫
豪信法印の筆跡としては花園天皇の宸影殘れり、それに天皇の宸筆にて奧書せられし所と、豪信の系圖として傳はる所との間には、信實の子孫としての代數の相違を見出すも、尊卑分脈によりて其疑問は決せられ得べし。
— 内藤湖南 『日本の肖像畫と鎌倉時代』 青空文庫
『新撰菟玖波集』には御製の金章長短の宸筆をも交えているので、禁裏でも等閑りの献上物のごとく見過ごされず、叡覧のうえ誤謬でも発見せられたものか、女房奉書を賜わった翌々日、また実隆に仰せて今一度校合の仕直しをして進上するようにと宗祇に命ぜられた。
— 原勝郎 『東山時代における一縉紳の生活』 青空文庫
また懐徳堂には霊元上皇|宸筆の勅額あり。
— 徳富蘇峰 『吉田松陰』 青空文庫
また懐徳堂には霊元上皇宸筆の勅額あり、この基により、さらに一堂を興すもまた妙なり、と小林いへり。
— 吉田松陰 『留魂録』 青空文庫
胎内には、聖武天皇|宸筆の薬師本願経、法華経一部、皇后筆の金剛|般若経、法華経一部、ならびに仏舎利五粒をともに奉納したと伝えられる。
— 亀井勝一郎 『大和古寺風物誌』 青空文庫
内に宸筆の勅願をおさめたのだ。
— 吉川英治 『新・水滸伝』 青空文庫
一方の柴進は、はたごへ帰ると、さっそく宋江へ「山東宋江」の宸筆を見せ、またつぶさに、禁裏の様子もはなして聞かせた。
— 吉川英治 『新・水滸伝』 青空文庫