帯際
おびさい
名詞
標準
文例 · 用例
されども渠は聞かざる真似して、手早く鎖を外さんとなしける時、手燭片手に駈出でて、むずと帯際を引捉え、掴戻せる老人あり。
— 泉鏡花 『琵琶伝』 青空文庫
あれ、と前褄引合して、蹌踉ながら遁げんとあせる、裳をお録が押うれば、得三は帯際取って屹と見え。
— 泉鏡花 『活人形』 青空文庫
と振離され、得三たちまち血相変り、高田の帯際むずと掴みて、じりじりと引戻し、人形の後の切抜戸を、内よりはたと鎖しける。
— 泉鏡花 『活人形』 青空文庫
(もしもし、待ってください、あなたは非常にお困りのようだ) 彼はとうとう女に近寄ってその帯際に手をかけた。
— 田中貢太郎 『蟇の血』 青空文庫
女郎屋の敷居を跨がないうちに吾輩の帯際を捉まえて、グイグイと引っぱり戻した奴が居る。
— 夢野久作 『超人鬚野博士』 青空文庫
それで私は起き上ってお母様の方へ行こうとしましたが、いつの間にか私はお父様から帯際を捉えられておりまして、息が止まるほど強く畳の上に引き据えられました。
— 夢野久作 『押絵の奇蹟』 青空文庫
お父様は黙ってお母様の顔を睨んでおいでになるようでしたが、私はお母様の方に向けられて足を投げ出したまま、帯際をしっかりと捉えられておりましたので見えませんでした。
— 夢野久作 『押絵の奇蹟』 青空文庫
サア、返事をせぬか」 と云いながらお父様は私の頭から手を放して、又帯際をお掴まえになりました。
— 夢野久作 『押絵の奇蹟』 青空文庫