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紅閨

こうけい
名詞
1
標準
文例 · 用例
あとの大戸を、金の額ぶちのように背負って、揚々として大得意の体で、紅閨のあとを一散歩、贅を遣る黒外套が、悠然と、柳を眺め、池を覗き、火の見を仰いで、移香を惜気なく、酔ざましに、月の景色を見る状の、その行く処には、返咲の、桜が咲き、柑子も色づく。
泉鏡花 みさごの鮨 青空文庫
渠等は社の抜裏の、くらがり坂とて、穴のような中を抜けてふとここへ顕れたが、坂下に大川一つ、橋を向うへ越すと、山を屏風に繞らした、翠帳紅閨の衢がある。
泉鏡花 茸の舞姫 青空文庫
」 と言う、香の煙に巻かれたように、跪いて細目に開けると、翠帳紅閨に、枕が三つ。
泉鏡花 日本橋 青空文庫
深窓の美姫、紅閨の艶姐、綾羅錦繍の袂を揃えて、一種異様の勧工場、六六館の婦人慈善会は冬枯に時ならぬ梅桜桃李の花を咲かせて、暗香堂に馥郁たり。
泉鏡花 貧民倶楽部 青空文庫
終には絹|手※も鼻を拭んで捨て、香水は惜気もなく御紅閨に振掛け、気に入らぬ髪は結立を掻乱して二度も三度も結わせ、夜食好みをなさるようになって、糠味噌の新漬に花鰹をかけさせ、茶漬を召上った後で、「もっと何か甘しい物はないか」と仰るのでした。
島崎藤村 旧主人 青空文庫
終には絹手※も鼻を拭んで捨て、香水は惜気もなく御紅閨に振掛け、気に入らぬ髪は結立を掻乱して二度も三度も結わせ、夜食好みをなさるようになって、糠味噌の新漬に花鰹をかけさせ、茶漬を召上った後で、「もっと何か甘しい物はないか」と仰るのでした。
島崎藤村 旧主人 青空文庫
このような楚々たる麗人を、妻と呼んで、来る日来る夜を紅閨に擁することの許された吾が友人柿丘秋郎こそは、世の中で一番不足のない果報者中の果報者だと云わなければならないのだった。
海野十三 振動魔 青空文庫
そこでこの奇妙な新婦新郎は、誰も知らない秘密に更に快い興奮を加えつつ、翠帳紅閨に枕を並べて比翼連理の語らいに夜の短かさを嘆ずることとはなった。
海野十三 ヒルミ夫人の冷蔵鞄 青空文庫