繁し
しげし
形容詞
標準
文例 · 用例
」 見る見る繁しくなって、颯と鳴り、また途絶え、颯と鳴り、また途絶え途絶えしている内に、一斉に木の葉に灌ぐと見えて静な空は一面に雨の音。
— 泉鏡花 『湯島詣』 青空文庫
一径互に紆直し、茅棘亦已に繁し、という句がありまするから、曲がりくねった細径の茅や棘を分けて、むぐり込むのです。
— 幸田露伴 『幻談』 青空文庫
欅原ただ目に寒く、雨のごとちる落葉あり、よく見ればいよいよ繁し、声立てていよいよ寂し。
— 北原白秋 『観相の秋』 青空文庫
よく見ればいよいよ繁し。
— ――長歌体詩篇二十一―― 『観想の時』 青空文庫
武装兵の行進、諸|酋長の来往、漸く繁し。
— 中島敦 『光と風と夢』 青空文庫
両国橋は天保十年四月に架け換えたのであるが、何分にも九十六間の長い橋で、昼夜の往来も繁しい所であるから、十七年目の安政二年には所々におびただしい破損が出来て、人馬の通行に危険を感じるようになったので、ことしの三月から修繕工事に取りかかることになって、橋の南寄り即ち大川の下流に仮橋が作られていた。
— 金の蝋燭 『半七捕物帳』 青空文庫
しかし敵弾雨よりも繁しくて、徒らに多くの死傷を出すに終った。
— 菊池寛 『田原坂合戦』 青空文庫
かかれば良縁の空からざること、蝶を捉へんとする蜘蛛の糸より繁しといへども、反顧だに為ずして、例の飄然忍びては酔の紛れの逸早き風流に慰み、内には無妻主義を主張して、人の諌などふつに用ゐざるなりけり。
— 尾崎紅葉 『金色夜叉』 青空文庫