朱線
しゅせん
名詞
標準
文例 · 用例
當時僕がどんなに深く感動したかは、その時讀んだ本の各頁に、鉛筆で無數の書き入れや朱線がしてあるので、今もその古い本を見る毎に、新しい追憶の感銘が興るほどだ。
— 萩原朔太郎 『初めてドストイェフスキイを讀んだ頃』 青空文庫
そこで朱線を引いてしまう。
— 北原白秋 『フレップ・トリップ』 青空文庫
エの朱線のフラフ、屋形、モーター・ボート、輝く波々、桟橋の童、風、風、風。
— 北原白秋 『木曾川』 青空文庫
」 しかし、右門は馬耳東風と聞き流しながら、しきりと丹念に町から町へ朱線を入れていましたが、と――、不意に莞爾と笑みをみせると、気味のわるいことをぽつりといいました。
— 足のある幽霊 『右門捕物帖』 青空文庫
兎に角全國歩いて見たい積りで地圖の上に朱線の殖えるのを樂みの一つにして居る。
— 長塚節 『旅行に就いて』 青空文庫
左右の壁面には、泥焼の朱線が彩っているのみで、それが唯一の装飾だった。
— 小栗虫太郎 『黒死館殺人事件』 青空文庫
それから蛇腹、また廊下の壁面を貫いている素焼の朱線にも、注意を払っていいと思う」「すると、君は、この館の設計図が必要なのかね」と熊城が呆れ返って叫ぶと、「ウン、全館のを要求する。
— 小栗虫太郎 『黒死館殺人事件』 青空文庫
調査が階段の外壁にある回転窓に移ると、熊城は、窓硝子の中央に太い朱線が横に一本引かれてあるのを見て、「なるほど、この壁燈が点け放しになっていたのをルキーンは不審がったと云うけれども、その理由はたしかこの朱線にある。
— 小栗虫太郎 『聖アレキセイ寺院の惨劇』 青空文庫