火攻
かこう
名詞
標準
文例 · 用例
これは、相模の野原で火攻めにお会いになったときに、その燃える火の中にお立ちになっていた、あの危急なときにも、命は私のことをご心配くだすって、いろいろに慰め問うてくだすった、ほんとに、お情け深い方よと、そのもったいないお心持を忘れない印に歌ったのでした。
— 鈴木三重吉 『古事記物語』 青空文庫
ストーブをドンドン焚いて先生を火攻にしたり、教場を真闇にして先生がいきなり這入って来ても何処も分らないような事をしたり、そういう所を経過して始めて此校へ這入ったものであります。
— 夏目漱石 『模倣と独立』 青空文庫
訴状には「御城、御役所、其外組屋敷等火攻の謀」と書いてある。
— 森鴎外 『大塩平八郎』 青空文庫
風吹き通す台所に切ってある小さな炉に、木片枯枝何くれと燃される限りをくべてあたっても、顔は火攻、背は氷攻めであった。
— 徳冨健次郎 『みみずのたはこと』 青空文庫
明朝の中期に升何汝賓が漢文で書いた西洋火攻神器説を読んで、早くから臼砲の諸元を知っていた。
— 久生十蘭 『ひどい煙』 青空文庫
『採要』の巻首に掲げた毅堂の自序を見るに、「孫子ハ火攻ヲ以テ下策ト為ス。
— 永井荷風 『下谷叢話』 青空文庫
然レドモ方今英|夷ヲ防グノ術火攻ヲ除イテハ則チ手ヲ措クベキナシ。
— 永井荷風 『下谷叢話』 青空文庫
「百石|積以上の船に焚草を積み油の古樽をこれに交え火薬を以て火口とし、長縄を以て五、六|艘を聯ね、船々相離るること十間ばかりにして風上より夷船へ乗掛け火を放ち、火起るを俟ち、乗行く人数は脚船にて乗還るべし〔またこれ赤壁火攻の術か、殊に敵の脚船を奪いこれにて乗りて還るなどは最も妙策とす〕」。
— 徳富蘇峰 『吉田松陰』 青空文庫