瞞著
瞞著
名詞
標準
文例 · 用例
僕はこうした場合に、以前にもやったように、靴を後前を逆にしてはこうかとも思ったが、しかし同一方向に三つの足跡があると云うことになると、それはもう一目瞭然に、瞞著であると云うことが看破されてしもう。
— コナン・ドイル 『空家の冒険』 青空文庫
「ワトソン君、いくら何でも僕はまさか、不動の木偶を立てて、それで欧羅巴で最も敏感な連中を、瞞著し得ると思うような、たわけ者ではないつもりだよ。
— コナン・ドイル 『空家の冒険』 青空文庫
――ひとり自分はいゝ子になつて、具合よく母を瞞著してゐたつもりだつたら、やつぱり母にはこの俺の心根が見へ透いてゐたのか!
— 牧野信一 『父の百ヶ日前後』 青空文庫
」「まア変な人ね……」と云つた照子は、明らかに私の芝居に瞞著されて、宥めようとでもするやうに軽く笑つた。
— 牧野信一 『妄想患者』 青空文庫
後でその書類を眺めながら、曾ては確かに百姓として、いろんな仕事もすれば田畑も耕やし、飲んだくれもすれば、車力もし、旦那を瞞著するような奴もあれば、ただ地道な農奴に過ぎなかったのもあろうところの、さまざまな百姓どもの名前を一瞥した時、彼はふと何か自分でも訳の分らない不思議な気持に襲われたものである。
— または チチコフの遍歴 第一部 第二分冊 『死せる魂』 青空文庫
実際、光に関しましては、むかしからいろいろな学者が自分を瞞著して、沢山な犠牲者を出して来ました。
— 横光利一 『旅愁』 青空文庫
しかるに俗宗匠輩がこの句に深遠なる意義あるが如く言ひ做し、かつその深遠なる意義は到底普通俗人の解する能はざるが如く言ひ做して、かつてこれが説明を与へざる所以の者は、一は自家の本尊を奥ゆかしがらせて俗人を瞞著せんとするに外ならざれども、一は彼がこの句の歴史的関係を知らざるに因らずんばあらず。
— 正岡子規 『古池の句の弁』 青空文庫
そして電気殺人たることは判っているのにもかかわらず、それを瞞著しようとてか短刀を乳房の下に刺しとおしてあるではないか。
— 海野十三 『電気看板の神経』 青空文庫